フィンレイソンのデザインアトリエ、今年は75周年
フィンレイソンの魅力の一つは、その膨大な数のデザインにある、というのは誰もが認めることでしょう。現在も、年二回のペースで、新しいデザインが発表され、そのデザインを作った製品が生まれています。
そんなフィンレイソンの、ものづくりの核ともいえる「デザインアトリエ」が誕生したのは、1951年のこと。今年は75周年にあたる記念イヤーです。デザインアトリエとは、日本語でいうと「デザイン室」のような存在です。なんと、工場内にデザイン部署ができたのは、フィンランド初! さすが、フィンランドの繊維業界を牽引してきた企業だけのことはあります。
とはいえ、スタートはとても質素なものでした。工場の一角に設けられた、小さなスペース。私たちが想像するような整った環境ではありませんでした。それでも、フィンレイソンがすごいのは「人を育てる場」として、社内にデザインアトリエを作り、美術教育を受けていない若手を教育したこと、つまりデザイナーだけではなく、経営陣の判断が先進的だったのです。そうして、工場の一角の小さなスペースから、全てが始まりました。
フィンランドでは、1930年代頃から、デザイナーが活躍し始め、フィンレイソン(当時の社名は、フィンレイソン・フォルッサ社)でも、1938年からフリーランスのデザイナーを採用していましたが、そこから大きく一歩進み、組織としてデザイン力を育てるという発想へと変わっていったのです。
デザインアトリエのリーダー役となったのは、西スウェーデンの繊維の町、ボロースでプリントテキスタイルについて学び、帰国していたエリザベス・リンダールでした。3人の若手デザイナーがリンダールの下でテキスタイルデザインを学び、企業デザイナーとして育成されました。その一人が、現在日本でも大人気のアイニ・ヴァーリでした。

やがて、アトリエの環境は少しずつ改善し、ショールームも設けられました。そこは、ファッション企業との商談の場でもあり、デザイナーも商談に同席し、提案する場所でした。市場ニーズにあったデザインをチームで生み出していく、その考え方こそがフィンレイソンの大きな強みとなりました。
